墜落的トキシック
「……無理なんだよ、全然」
手放すとか手放さないとか
好きとか好きじゃないとか
「優しさなんて全部嘘」
「……っ」
「あいつに傷つけられて滅茶苦茶になればよかったのに」
苦しげに歪んだ瞳に見つめられて。
でも結局私は黙り込む他なかった。
この後に及んで私には何一つわからなかったから。そうするしかなかった。
ただ、目だけは逸さなかった。
まっすぐにただ見つめ合っているうちに、ハルの瞳にはっきりと劣情が映って。
「花乃」
蠱惑的な声。
その裏に獰猛な熱がこもっている。
「ハル……?」
静かに名前を呼ぶけれど。
「痕つけていい?」
「へっ?」
私の反応など気にも留めず、ハルは私の腕をとって、そこに唇を寄せる。
ハルの熱い吐息が腕にかかって、それから舌がゆっくり這っていく感触。
仕上げに、ちゅうっ、と耳を塞ぎたくなるほどの甘い水音。