墜落的トキシック


そのまま他愛のない話を続けているうちに、家の前まで帰ってきていた。
このままハルの家に上がるまでがお決まりのコースだ。


結局、何もなくて、いつもどおり。
それで、何も不都合なんてないけれど、だけど。


だけど─────



「あの、ハル」


確かめたいと思った。
ずっと、もやもやしたままじゃ嫌だった。



玄関前、声をかけるとハルは「ん?」と柔らかく返事をくれる。


その柔らかさにほだされて。
口を開く、決心がついた。



「あの、あの……」



もごもごと口ごもってしまうけれど、ハルは黙って待っていてくれる。
決して急かしたりはしない。



「どうして、昨日……つけたの?」

「……?」

「キス、マーク」



ぽつり、呟くとハルは目を見開いた。
そして、絆創膏を貼っている部分に視線を注ぐ。

まるで、その奥にある痕を見透かすように。



「どうしてって……」



口をつぐんだハル。
すかさず私は再度口を開いた。



「彼氏でもないのにつけるのはおかしい、って言ってた。何とも思っていないひとにはそういうことしないって。ハルは、私のことどう思ってるの? 私は、私はハルのこと────」




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