墜落的トキシック
好き、とそう続くはずだった。
なのに音にならなかった。
声にしなかったんじゃない。
なぜか、声が出なかったんだ。
そんな自分に驚いて戸惑う私を、ハルはまっすぐに見つめて。
そして、薄く口を開いた。
「じゃあ、ヨリ戻す?」
幻、みたいだと思った。
理解がおぼつかなくて。
「え……?ヨリって……」
「もう一回俺と付き合う?」
え、と思わず声が漏れた。
信じられなくて口をぱくぱくとさせる。
対するハルの顔色は少しも変わっていなくて。
ああ、もしかして。
「ハルの冗談はわかりにくいってば……」
やっぱり、冗談だよね。
そう判断して弱々しく抗議するけれど。
「冗談じゃない」
力強くはない。
だけど、妙に意志のこもった声。
その声は嘘じゃない、これが真実なんだと雄弁に語っていて。
「っ?」
思わず顔を上げて、きょとんとした私に。
彼は決定打を放ったのだった。
─────「花乃が好きだよ」