墜落的トキシック


あれから数週間。
侑吏くんとはまともに口をきいていない。

話したとしても、委員での必要事項だけだったり。



[ごめんなさい。侑吏くんの気持ちには応えられないです。]



あのあと、侑吏くんに送った、たったそれだけの最低なLIMEの内容を思い出して、苦虫を噛みつぶしたような気持ちになる。

侑吏くんは面と向かって伝えてくれたのに、それにメッセージで返すなんて、最低だ。
我ながら最低最悪だ、と思う。



思う、けれど、だからって侑吏くんに直接何かを言えるような気はしなかった。



────ガタンッ




「……っ」




ふいにバスが大きく揺れて、侑吏くんと肩が触れる。
触れ合ったその場所から、電流が走ったような気がした。



気まずい。
すっごく気まずい。



今日の昼食はお弁当だった。
バスの中で食べたのだけれど、右側に座る侑吏くんと左側に座る私、それぞれ左利きと右利きだから、油断すると腕はぶつかるし。
その度に謝るのも変だし。


それに、侑吏くんは案外涼しい顔をしていて、意識しまくりなのは私の方だけなのかも、なんて思ったりもした。



そのまましばらく、バスの中で上下に揺られ続けていると、ふと波のような睡魔が襲ってくる。


緊張状態が長く続いたせいで、疲れてしまっているのかもしれない。


そう冷静に考えた次の瞬間。
かくん、と大きな波に飲み込まれて、意識がぱちんと泡のようにはじけた。




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