墜落的トキシック


「そういえば花乃ちゃん、佐和と結構仲良いよね」

「どうなの?そこのところ」



仲が良い?
良いのかな、ほんとうに。



「……わかんない、かな」




私と侑吏くんははじめから相性が悪くて。
わからないことだらけで。



『好きだ』



ほんとうに?

いや、本当だとしても、何も変わらないか。
私はあれを、断ったんだ。


あんなたった一言のメッセージで。



こんな私のこと、さすがに侑吏くんも嫌になったでしょ。




───だめだ。
ずっと、侑吏くんのことを考えてしまう。
ずっと、ずっとなの。



ふとしたときに侑吏くんを思い出して。
そしたら、あの告白の台詞を思い出して、それで。


それで。




「あー、彼氏におみやげ何買おっかなあ」




いつの間にか、麻美を除いたふたりの彼氏の話題にうつっていた。

ふたりとも、彼氏もちなんだって。
そのうち、紗良(さら)ちゃんの彼氏は他校生らしく。

おみやげを買って帰る約束をしたんだとか。



「抹茶のお菓子とか?あとは定番に八ツ橋は?」

「うー、せっかくなら形で残るものがいいかなあって思ったり………でも、喜んでくれるのが一番だし」

「だよねー。何が好きなの?紗良の彼氏」

「わかんない……!こっちが知りたい!何を渡したら喜んでくれるのかなー」




はあ、とため息をこぼした彼女。
だけど、その横顔は幸せそうに満ち足りていた。



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