スパークリング・ハニー
「そうだ、こもりん!」
突然声をあげた私に、こもりんの肩がぴくん、と揺れた。
「じゃじゃーんっ!」
「なにそれ」
「見て見て! こもりんの似顔絵だよ〜! さっき描いたの!」
ルーズリーフをこもりんの目の前でひらひらさせる。
さっき、教室で完成させたこもりんの似顔絵だ。
我ながらよく描けたと思うの。
こもりんのチャームポイント、くるんと上がった長いまつ毛を忠実に再現したんだよ。
「どう? かわいいでしょ?」
ふふん、と得意げに胸を張る。
こもりんは、少しの間、じいっと似顔絵とにらめっこして。
「私のことかわいく描いてくれるのは嬉しいよ」
「うん?」
「だけど光莉、数学の課題するって言ってなかった?」
ぎくり。
それから、冷や汗たらり。
うう、こもりんってば痛いところを突いてくる。
「えへへ!」
「笑ってごまかさない!」
こもりん、般若の顔。
本気で怒っているわけじゃないことは、見ればすぐにわかるけれど、それでもこもりんにびしっと指摘されると妙に迫力がある。
さすが「鬼マネージャー」と呼ばれるだけあるなぁ。