スパークリング・ハニー
「えっ」
「さっきから全部、朝陽のことが好きって言ってるようにしか見えないよ」
みなみちゃんの髪が、さらりと綺麗になびいた。
滲む汗は、きっと夏の暑さのせいだけじゃない。
「……でも」
何と言えばいいのかわからなくて、口ごもる。
ふ、と切なげに口角をあげたみなみちゃんが代わりにまた口を開いた。
「じゃあ、たとえば、朝陽がひかちゃんのことを好きだとしても、同じように言えるの? 好きじゃないからって断れるの?」
「……っ、それは」
わからない。
わからなかった。
そんなこと、考えたこともなかったもの。想像したことさえも。だって、ありえないと思うから。
でも、もしも、もしも、篠宮くんが私のことを好きになってくれたとしたら、私は────どうするのだろう。
「あと、そのブレスレット外せないのなら、それが1番の証拠なのかなって思うよ」
私の左手首にきらめくブレスレットを見つめて、みなみちゃんは眩しそうに目を細める。
もったいなくて、外せない、でもそれは。
「ごめん、ほんとうに……わからない、よ」
そう答えるより他になかった。