スパークリング・ハニー


「そっか、うん。そうだよね」


頷くみなみちゃん。
そのあと少し俯いて、呟く。



「……私ね、ひかちゃんならって」



ずっと、思ってるんだ。

聞こえるか聞こえないかくらいの声。
ぽつんと声を落として、そのすぐあとに何でもなかったみたいに、柔らかく笑みを浮かべた。

みなみちゃんの笑顔は、どことなく篠宮くんに似ている。



「ごめんね、色々混乱させるようなこと言っちゃって」



ぶんぶんと首を横に振る。
その激しい動作に、みなみちゃんは、ふふっと笑って。



「私、ずっと朝陽のいちばんの味方でいたいんだ」

「うん」

「うじうじしているなら、あいつの背中を蹴り飛ばしてやるくらいの勢いで、応援したいの」



みなみちゃんのことをヒロインのようだと私がいつも思うのは、きっと見かけだけじゃなくて、そういう芯の強いところに惹かれて、素敵だなあと思うからだ。



「それとね」

「……?」

「ひかちゃんにも、ぜったいに後悔してほしくないんだよ」



私?
きょとん、と首をかしげると。



「ひかちゃんの言葉を借りるなら、私も、憧れてるんだと思うの。ひかちゃんに、ずっと」

「えっ!?」

「これ、内緒の話ね!」



ぱちん、と華麗なウインク。
その仕草に、やっぱりヒロインのような女の子だなぁ、と改めて思ったんだ。



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