スパークリング・ハニー



かわいい、なんて冗談にしか聞こえないこもりんの台詞が慰めになるはずもなかった。

うう、もう帰りたい。帰らないけれど。


そのあとも、たまちゃんを筆頭に教室に入ってくるみんなに前髪のことを散々つっこまれ、それを繰り返し、情けなさと恥ずかしさで半泣きになっていると。



「瑞沢?」



聞きまちがえるはずのない声にぴくんと肩が揺れた。

振り向く。
教室に入ってきたその影はまっすぐに私の方に向かってくる。



「おはよう」

「うあ、おはよう……っ、篠宮くん……!」

「……? うん、久しぶりだね」

「ひ、久しぶりですね……」



そろりそろり、距離をとりながらこもりんの背中に隠れる私に、篠宮くんが不思議そうにしている。そりゃそうだ。

久しぶり、うれしい。
会いたかった。休みの間、何度も篠宮くんのことを考えていた。今日からまた教室で、話せるの。


うれしい、のに……!



「瑞沢、なんで逃げちゃうの」



篠宮くんの困ったような声が追いかけてくる。
うう、話したい、篠宮くんと。でも。



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