スパークリング・ハニー
いやだ、ぜったい。
ぜったいに、篠宮くんにだけには見られたくない、この悲惨なありさまを。
手で前髪……もとい顔ごと覆い隠しながら、逃げ隠れる。
「瑞沢」
「見ないで……っ」
こもりんの背中にぎゅう、としがみつく。
堪えきれないといった笑い声、合わせてこもりんの背中がふるえた。
うう、他人事だからって笑ってるんだ……!
それはそうと、いまだに状況が読めていない篠宮くんは戸惑った様子。それを見たこもりんが。
「ほら光莉、朝陽が顔見たいって」
「篠宮くんはそんなこと言ってないよ!」
「でも、そういう顔してる」
ほんとうに?
ぜったい嘘だよ、もう。
「どうせ見られるんだし、隠さなくたっていいじゃん」
「……いや、です」
どうしてだろう、おかしいな。
ドジを踏んで、こうやってからかわれるのって、恥ずかしい、けれどもう慣れたことだ。
私は物心ついたときから、いつもこうで、ヘマをしてはみんなにつっこまれて……って、そんなに珍しいことじゃない。
そりゃあ、とても恥ずかしいことには変わらないけれど。