スパークリング・ハニー
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篠宮くん。
篠宮朝陽くん。


名は体を表す、というけれど篠宮くんはまさにそうだと思う。

朝陽、という名前がだれよりも似合うひと。




「光莉っち、さっきの授業、災難だったねえ」

「ほんと!タケぽんの集中攻撃食らってたじゃん」



翌日、授業と授業のあいだの休み時間。


チャイムが鳴るなり、私の席をとり囲むみんなに哀れみの目を向けられる。



「そう言いつつ、みんな面白がってたくせにっ」



もうっ、と頬をふくらませると、どっと笑いが起こった。



「タケぽんVS光莉っち、なかなかよかったよ」



ぐっと親指を立てたのは、クラスメイトのたまちゃん。


よくないよくない。
ほんとうに大変だったんだから!



タケぽんというのは、数学のコワモテ先生だ。
そしてコワいのは顔だけじゃない。


ひと昔前なら、竹刀を背負って歩いていそうなタイプの鬼センセイ。



コワいだけで、キライなわけじゃないよ。
教え方はうまいし、人情にあつい先生で、尊敬している、すごく。


だけど、それとこれとは別って話なのである。





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