スパークリング・ハニー


篠宮くんは、そこにいたのが私だったから、このサイダーをくれたわけじゃない。

私以外の誰が教室に残っていたとしても、篠宮くんはきっと同じことをしただろう。



────そんなことはわかっていて、むしろ、そんな篠宮くんだから私はずっと憧れているのだ。



篠宮くんに、ずっと憧れている。
それは、お近づきになりたいとかそういうものじゃない。


憧れているからこそ、篠宮くんにはずっと笑顔でいてほしい。

絵に描いたようなふたりが、絵に描いたように幸せになるなら、それは私にとってもすごく幸せなことなの。


そんな篠宮くんの姿を思うだけで、心があったかくなるの。


私にとって篠宮くんは、そういう存在だ。




「光莉、なにぼーっとしてるの」

「えへへ、ごめんごめーん!あ、新作の変顔みる?」

「いらない」



ええ、新作、けっこう自信あるのになあ。

ばっさり即答したこもりんに、思わず笑みがこぼれた。



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