スパークリング・ハニー


「篠宮くんが、退部届を持っていこうとしてるって知って、私、嘘ついて止めちゃって」

「後悔してんだ?」

「……」



辞めてほしくないって思ったの。


だって、グラウンドにいるときの篠宮くんがいちばんきらきらしているから。


でも、それは、きっと私のためだった。
私が、そんな篠宮くんが、好きだから。




「私、は」




いったい、どうしたい……?
言葉がうまく繋がらなくて俯くと、はあ、と梶田くんの大きなため息、隣から。




「ぜんっぜん光莉ちゃんらしくないね」

「え……っ」

「あ、名前で呼んだら怒られるんだったわ。瑞沢ちゃん、ね」




怒られるって、誰に?


なんてちょっと面食らうも、そんな私にはお構いなしに、梶田くんは再度呆れたように息をついた。




「別に俺、瑞沢ちゃんのことそんなよく知ってるわけでもないけどさ」

「はい……?」

「瑞沢ちゃんってそんななの?」




どういう、意味。


トゲを含んだ梶田くんの言葉にひるんでいると、すかさず言葉が飛んでくる。





「みんなの話を聞く限りだけどさ。明るい、元気、単純、決めたら一直線……そんな風に勝手に思ってたけど、全然違うじゃん」

「……!」




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