スパークリング・ハニー
頭を鈍器で殴られたかのような、頬に思いきり平手打ちを食らったかのような。
そうだ、私のとりえって。
前向きで楽観的で、こう見えてひたむきなところ。
今の私はどうかな。
うじうじして、くよくよして、それって全然私じゃない。
薄々気づいてはいた。
せっかくのとりえを、いつのまにか全部どこかに置き忘れてきてしまっていたんだ。
「瑞沢ちゃんって、朝陽のこと、好きでしょ」
「っ、な」
「見てればわかる」
朝陽が好きなら、瑞沢ちゃんなら、思うでしょ。
そう前置いて、梶田くんは私の瞳をじっと見つめて。
「どんな手を使ってでも、朝陽のことをすくいたい」
「……っ、あ」
「そのための鍵が目の前にあるのに、どうして手を伸ばさないの?」
それは。
頭の中で浮かび上がってくる言葉はどれも言い訳だった。
口をつぐむと、追いうちをかけるように。
「綺麗ごとばっか並べてても、あいつのことなんて永遠にすくえないよ」
瑞沢ちゃんも、わかってるでしょ。
「朝陽は、自分がすくわれるために弱いところをさらけだすような奴じゃない。あいつが自分の口でなにもかもを話すなんてこと、ぜったいにない。馬鹿だから、あいつは全部勝手に自己完結できてしまうんだって」