スパークリング・ハニー


固い表情をしていた篠宮くんだけれど、徐々に表情が柔らかくなってくる。


お兄ちゃんの猛攻に圧倒されて怯んでいたけれど、だんだんとひとつひとつの動作に勢いがついていく。

遠慮がちだったその足先が、表情が、生き生きしてきて、そして。




「っ!」




お兄ちゃんがかたときも離さずに操っていたボール。

そのお兄ちゃんの足の間に、篠宮くんの足が滑り込んだ。



そして。




「……!」




踵でひっかけるようにして、奪う。

ボールが鮮やかに、篠宮くんのものに変わる。



瞬間、思わず歓声を上げてしまいそうになって、慌てて口もとを手で覆った。



────だって、そのときの、篠宮くんの表情といったら。


破顔寸前の満面の笑顔。どのときよりも眩しい、髪も瞳も太陽のひかりをうけとめてきらきらと輝いている。



はじめて見るその表情を、私はずっと、待っていたような気がする。




あんまり綺麗で、泣いてしまいそうだった。

見逃すまいと、これ以上視界がぼやけないように目に力を入れたのだった。





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