スパークリング・ハニー


────今日の授業の課題は、“花の絵を描くこと”。

それも、ただ花の絵を描くだけじゃない。



ペアかグループをつくって、そのお互いのイメージに合う花をひとつ選んでそれを描くってお題なの。



むせ返るほどの花の香りは、美術室の前のほうの机の上からただよってきている。

そこには、季節感もいろどりもまばらの大量の花たち。



先生によると、美術部が生花を描く練習に使ったものの、おさがりらしい。

このまま処分するのはもったいないため、授業で有効活用しようというわけだ。



このなかから選んで見本にしてもいいよ、との指示があった。




「ねえねえ、こもりんは? なにを選んでくれたの〜?」




ひかちゃんが、今度はこもりんの方を覗きに行く。



私たちは3人でグループを組んだの。

そして、私がこもりんのイメージで、こもりんがひかちゃん、ひかちゃんが私、と決めたのだ。



自分のイメージにどんな花があてられたのか、とうきうきしながらこもりんの手元を覗き込んだひかちゃんが、次の瞬間思いっきり目を見開いた。



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