スパークリング・ハニー
にっこり答えた私に、篠宮くんはまたちょっと笑った。
笑顔が好き。
そのなかでも篠宮くんの笑顔はとくべつ好きなんだと改めて実感する。
「瑞沢は今から帰り?」
「あ、えっと、うん!」
そうだ。
ぱっと荷物をまとめて、こもりんのところへ向かわないと。
慌てて机に広げていたノートや教科書を片づける。
その私の様子を、じっと見ていた篠宮くん。
「それって、数学の課題?」
「うん。テスト当日に回収の……」
ちなみに、タケぽんの課題は鬼エグい。
何がって、量が、だ。
ただでさえ、数学が苦手な私は、いつもひいひい泡を吹きながら課題に向き合っているの。
とくに今回の範囲はニガテ分野で……正直ヤヴァイ。
テスト期間は明日からだけど、当日までに間に合うか不安なんだよね。頑張らないと。
「あんまり進んでないね」
「うっ」
私のノートをちらりと見た篠宮くん。
そのどストレートな指摘に、ぎくりと固まる。
そういえば、篠宮くんって数学が得意なんだっけ。
こんなのもできないなんて、って呆れられたかもしれない。