スパークリング・ハニー
「どうしても瑞沢に謝らなきゃって……、まだ教室に残ってくれててよかった」
会いたかった、ってそういうことだったのか。
それで走ってきてくれたんだ。
篠宮くんってほんとうに律儀だなぁ。
そういうところがみんなから好かれる理由のひとつになっているのだと思う。
「俺の仕事だったのに、ごめんな」
もう一度、しっかりと頭を下げた篠宮くん。
私はふるふると首を横にふった。
律儀なところ、篠宮くんのいいところ。
だけど、私はそんな、篠宮くんの申し訳なさそうな顔を見たくてしたわけじゃないよ。
これは、私が、したくて、勝手にしたことなの。
「えっと」
「……?」
「私、『ごめん』はあんまり好きじゃないかな」
すると、くす、と笑った篠宮くん。
そのあまりにいい笑顔に一瞬にして釘付けになる。
「ありがと、助かった」
上がる口角、ひかりをたたえた瞳。
うん、やっぱり、そっちの方が好き。
「どういたしまして!」