スパークリング・ハニー


────でも、せっかく一緒にいるのに、その瞼がずっとおちたままなのも、もったいないかもしれない。


その奥に今は隠れている、ハチミツの瞳がだいすきなの。



篠宮くんの全部、すきだけどね、あの瞳は太陽みたい。

篠宮くんの目がきらきら輝いていると、私まで嬉しくなるの。

外に出ていい天気だと、ちょっとハッピーになるでしょう、あれと同じ理屈だと思う。




太陽、かあ。

何度でも、思っているけれど、篠宮くん────篠宮朝陽くんっていい名前。



あさひくん。


心の中でなぞるだけじゃ、足りなくて。




「……朝陽くん」



とくべつな名前を唇にのせる。

と、その瞬間、狙ったみたいに、待っていたみたいに、ぱちっと篠宮くんの目が開いた。




「っ、!」




驚きのあまり、後ずさる、とうしろの机にぶつかって、ガタンッと派手な音がする。



だって、だって、だって!


このタイミングで起きちゃうなんて、思わなかった、あらわになった篠宮くんのだいすきな瞳が近すぎて、心臓の音がうるさい。




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