スパークリング・ハニー


「気にしないで。つーか、課題する代わりに俺の仕事やっててくれたんだったら、そのお礼したいし。……それとも、俺じゃ役不足?」


「いやいやいやいや、めっそうもないです!」



慌てて首をぶんぶん横にふる。
身ぶり手ぶりをつけて大げさに。

役不足、なんてそんなことあるわけない。



「じゃあ決まり」

「ほ、ほんとにいいの?」

「言っただろ、これはお礼なんだって」



こんな素晴らしきお礼に釣り合うようなこと、していないのに。

こんなところまでお返し三倍の法則?
うう、篠宮くんってば、よくできた人間だ。



「私、物覚えすごーく悪いよ? そのうえ数学は壊滅的だよ? 後悔しても知らないからねっ?」

「はは、自分でそれ言っちゃうんだ?」

「う、だって」

「いいよ。むしろ、教えがいがあります」



にこっ、と微笑んだ篠宮くん。

その柔らかな笑みさえカンペキで、篠宮くんに欠点などあるのだろうか……と思う。



きっと、欠点があったとしても、それはそれでチャームポイントになっちゃうんだろうな。



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