スパークリング・ハニー
「あ、でも」
「ん?」
「篠宮くんって、みなみちゃんと帰るんじゃ……」
ふと思い出したけれど、そういえばそうだ。
こんなところで私と話している間にも、みなみちゃんは校門のあたりで待っているんじゃなかろうか。
「みなみ?」
篠宮くんが首をかしげる。
きょとんとした表情。
「いつも、一緒に帰ってるよね?」
「あー、あれは……」
記憶をたどるように篠宮くんはちょっと目を伏せた。
そんな姿ですらさまになっている。
「たまたま、ばったり会うだけで。一緒に帰る約束とかはしてない、別に」
「そうなのっ?」
「うん。まー、幼なじみだし、家も近所だし、なにかと行動が似てくるんだろうな」
そういうものなの?
私には幼なじみと呼べるような存在がいないから、よくわからない。
だけど……ばったりにしては毎日のように一緒にいるから、てっきり、私は。