スパークリング・ハニー


「あ、でも」

「ん?」

「篠宮くんって、みなみちゃんと帰るんじゃ……」



ふと思い出したけれど、そういえばそうだ。

こんなところで私と話している間にも、みなみちゃんは校門のあたりで待っているんじゃなかろうか。



「みなみ?」



篠宮くんが首をかしげる。
きょとんとした表情。



「いつも、一緒に帰ってるよね?」

「あー、あれは……」



記憶をたどるように篠宮くんはちょっと目を伏せた。

そんな姿ですらさまになっている。



「たまたま、ばったり会うだけで。一緒に帰る約束とかはしてない、別に」

「そうなのっ?」

「うん。まー、幼なじみだし、家も近所だし、なにかと行動が似てくるんだろうな」



そういうものなの?

私には幼なじみと呼べるような存在がいないから、よくわからない。



だけど……ばったりにしては毎日のように一緒にいるから、てっきり、私は。




< 31 / 299 >

この作品をシェア

pagetop