スパークリング・ハニー


ぼやけていたものが、くっきりと。
すると、錯覚を起こしてしまうの。

そう────まるで。



「なんか、距離縮まった気がするね」

「っ、あ」



私も、今、同じこと思っていた。
先を越されて、嬉しいような────複雑な。



距離が縮まった、なんて、そんなの。
きっと、私が思うにはまだ全然だ。


だっていつもきみの背中を見ている。
隣を歩いていても、向き合っていても、私はずっと篠宮くんのうしろを追いかけているの。


でも、それで、それだけで、じゅうぶんなはずだった。



「俺さ、瑞沢のこともっと知りたいと思う」

「な……っ」

「知りたい、って思ってたんだよ」

「それは嘘」

「嘘じゃないって」



篠宮くんが肩をすくめる。
ううん、私、信じないもん。



「だって、私って何の変哲もない……」




私は篠宮くんの些末なことを知れて嬉しいけれど、篠宮くんが私に対して同じように思ってくれているとは到底思えない。



だって、月とすっぽんだよ?


もちろん、篠宮くんが月で私がすっぽん。
篠宮くんは月というより太陽だけれど。



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