無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。



視界に入る相手との距離はほんの少し離れている程度。



前にいるのは2人。
1人はだるそうに歩きながら、その隣にいるもう1人は隣にいる相手の腕を無理やり組んで歩いている。



今回は本当にただの偶然。
何も仕組まれていない。


"あの日"とは違う。
今回は呼ばれたわけでもなく、わたしの意思でもなんでもない……。



このまま足を進めてしまえば、相手にこちらの存在が気づかれてしまうと思い、足を止めた。



だけど、距離が近すぎた。


そのため、一瞬足を止めた時に靴と地面が擦れた音がかなり大きくなってしまい、


前にいた2人がこちらを振り返った。



思わず手に持っていたカバンを握る力がギュッと強くなった。


そこにいた2人は……



夏向と、


そして、親しげに夏向の腕を組む、見覚えのある顔の女の子。


よく見てみたら、この前わたしが夏向の家に呼びつけられた時に、押し倒されていた女の子のような気がする。


顔はあまり覚えていないから、確証はないけれど。

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