無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。



去り際に夏向のほうを見たけれど、引き留めてくることはなかった。



心のどこかで引き留めてくれるかもしれない……なんて甘い考えは捨てるべきだって思い知らされた。




黒瀬先輩に連れてこられたのは、今は使われていない教室。


鍵は開いていて、黒瀬先輩が雑に扉を開けた。そのまま中に連れ込まれた。


ガラッと扉が閉められ、ガチャッと鍵をかけられた。



「さー、連れてきちゃった。どーしよっかなー」



フッと笑う黒瀬先輩の笑みからは、とても困っているようには見えない。


それを証拠に、わたしを壁際まで追い込んで簡単に逃げ場を失うようにしたんだから。



「できれば離してもらえるとありがたいんですけど」


「んー、それは無理かなー。逃げるようなら逃げられないようにしちゃうけど」



そう言いながら自らのネクタイに指をかけているこの先輩はとても危険な人だ。

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