無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。
わたしの隣に座っている夏向の顔をジーっと見る。
「なーに?俺の顔に何かついてる?」
いつも夏向に翻弄されてばかりだから、
今日くらいはわたしが誘惑してみてもいい…かな。
「な、何もついてないよ。ちょ、ちょっと樹里に電話してくるからここで待ってて!」
なんとか部屋を抜け出す口実を作る。
不思議そうな顔をしていた夏向を置いて、持ってきた紙袋を片手に部屋を出た。
お風呂場の脱衣所に駆け込んで、着替えを済ませてみたのはいいものの……。
「うわ……やっぱりやめようかな…」
サイズは恐ろしいくらいピッタリ。
ただ、丈が本当に短い。
こ、こんなの着てバカにされたりしないかな。
ってか、何やってんの?とか冷めた顔で言われたらどうしよう。
それに、今日の夏向なんか機嫌悪そうだし…。
ケーキ作って食べてる時はそうでもなかったけど。
いろいろ考えても仕方ないので、
とりあえずがんばるしかない…。
覚悟を決めて夏向がいる部屋へ戻ることにした。