夕闇の時計店
「……うれしいです」

「そうか」

今度は緋瀬さんから体を寄せ、お互いの唇が優しく触れ合った。

ぐ~~……

「!?」

腹の虫が鳴き、慌ててお腹を押さえる。

「ご、ごめんなさい」

「ふっ」

緋瀬さんは面白そうに笑った。

「腹が減ったのか。日暮れに来て、もうすっかり夜だからな……何か食べに行くか」

「何かって……こっちの世界で、ですか?」

「あぁ。安心しろ、食も建物も真似て作っているからほとんど変わらない。少し遅れてはいるけどな……街は賑わっていてうるさいかもしれない」

妖の世界……気になる!

緋瀬さんの暮らしてきた街のこと知りたい。

「行きたいです!」

「なら……そうだな、服は着替えたほうがいいか」

「確かにそう、ですね……」
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