夕闇の時計店
☆episode2☆

-お節介-

☆episode2☆
-お節介-


ガチャガチャ……

「今日も閉まってる……」

緋瀬時計店の入り口には「臨時休業」の張り紙、庭先のドアには鍵が掛けられている。

店内の固定電話に出ない、呼びかけても返事はない。

「緋瀬さん……」

妖の世界に帰っちゃったの?

お父さんが反省して謝ってきて、改めて話をしたいなんて言うから伝えに来たのに。

一刻も早く和解して親公認でお付き合いできたらって、思ってたのに。

「なんで居ないんですか……」

繊細な緋瀬さんのことだから、傷心で二度と会わないって勝手に決めちゃわないか心配だった。

でも、何も言わずに居なくなるなんて。

「ひどい、です……」

涙がポロポロとこぼれる。

「ドアが開かないんじゃ私、迎えに行けないじゃないですか。このまま会えなくなるなんて嫌ですよ、緋瀬さん……」
< 56 / 62 >

この作品をシェア

pagetop