夕闇の時計店
想い人に会えなくなってから、一週間。
一方は……
「夜一……まだ居たの。ねえ、いい加減に帰りなよ」
「うるさい。俺の居場所は元々こっちだ」
呉服屋の仕事に手が空いたから、この地域の頭領であり古くからの友である男のただっ広い屋敷を訪ねれば、五日前と同じ状態……いや、もっと悪いだろう有様だった。
「衣月ちゃん心配してるんじゃあないの。夜一がやってることは衣月ちゃんを傷つけてるだけだと思うけど?」
親に反対されたなら駆け落ちするくらいの勢いで会いに行ってあげないとねえ……まあ夜一は何百年と生きてるくせに恋愛超初心者、おまけに無愛想なくせして繊細だから仕方ない……のか……?
いやいや甘やかさないで成長させないと。
でも五日前にいろいろ言ったけど、引き籠ってるし……どうしようかねえ。
「……夜一が情けない。皆に慕われる頭領で、ボクの信頼する友で、悔しいくらい才色兼備なキミが、恋愛のことになると莫迦のダメ男だ。呆れた。衣月ちゃんに対する想いも貫けないなら、ずっと、そうしてればいいよ。ほんと、幻滅だ」
「…………」
これだけ言っても、悲しい目を向けるだけ……か。