転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「ええ。帝国には、他国の王族や貴族の方も多数いらしていると聞いています。そちらで縁を結ぶのもいいかもしれませんね――きっと、近いうちにそれを願うことになると思いますわ」
二度とこの国に戻ってくるな、とザーラは暗に告げてきた。
(願うことになるって……でもまあ、いいか)
どうせ、この国には二度と戻れないのだ。ヴィオラはもう一度頭を下げ、謁見の間を後にした。ひと言しかかけてくれなかった父に、ほんのわずかばかり失望しながら。
数少ない友人に別れの手紙を書き、届けてもらえるように手配してから馬車に乗り込む。
オストヴァルト帝国に連れていく侍女はニイファだけ。地味な旅行用のドレスに身を包んだニイファは、ヴィオラの向かいに座っている。
「ごめんね、ニイファ。たぶん、こっちの国には戻ってこられないと思うの」
「お気になさらないでください。どうせ、両親ももういませんし。ヴィオラ様のお世話係として、ついていくと決めたのは私ですから」
ニイファは、向かい側からにっこりと笑って返してくる。