転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「そんな顔をするな。もともと、皇太子という地位に固執しているわけでもないんだ。他の者に譲った方が国が安定するというのなら、弟達の誰かに譲っても全然問題ないんだぞ」
リヒャルトがそう言うのは、ヴィオラを気遣ってのことなのだろうか。それとも……?
皇帝と皇妃との会話はほとんどなく、皇妃はそれを気に病んでいるのだという噂は、ヴィオラのところまで届いている。
今は皇太子の立場にあるリヒャルトの立場も、さほど安泰というわけでもないのだとから、皇太子という彼の身分からしたら、いくぶん時間が余っているのも本当のことなのかもしれなかった。
「ヴィオラが一緒にいてくれると、母上も嬉しそうだ。今後も母上の招待を受けてくれるか?」
「もちろんです!」
たぶん、リヒャルトの誘いを受けた裏には、ヴィオラ自身が寂しかったのだという事情もあるのだと思う。
母を亡くして以来、イローウェン王国の王宮は、ヴィオラにとって居候させてもらっている場所になってしまった。
自分の住んでいる場所なのに、呼吸ひとつままならないような気がして――異母兄と異母妹が、華やかな場に出る機会を与えられているのに対し、ヴィオラだけは陰に引っ込んでいることを要求され続けていた。
もちろん、ニイファはずっと側にいてくれたけれどそれだけでは埋められないものもあるのだ。
リヒャルトがそう言うのは、ヴィオラを気遣ってのことなのだろうか。それとも……?
皇帝と皇妃との会話はほとんどなく、皇妃はそれを気に病んでいるのだという噂は、ヴィオラのところまで届いている。
今は皇太子の立場にあるリヒャルトの立場も、さほど安泰というわけでもないのだとから、皇太子という彼の身分からしたら、いくぶん時間が余っているのも本当のことなのかもしれなかった。
「ヴィオラが一緒にいてくれると、母上も嬉しそうだ。今後も母上の招待を受けてくれるか?」
「もちろんです!」
たぶん、リヒャルトの誘いを受けた裏には、ヴィオラ自身が寂しかったのだという事情もあるのだと思う。
母を亡くして以来、イローウェン王国の王宮は、ヴィオラにとって居候させてもらっている場所になってしまった。
自分の住んでいる場所なのに、呼吸ひとつままならないような気がして――異母兄と異母妹が、華やかな場に出る機会を与えられているのに対し、ヴィオラだけは陰に引っ込んでいることを要求され続けていた。
もちろん、ニイファはずっと側にいてくれたけれどそれだけでは埋められないものもあるのだ。