転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
 お茶の時間を終えて、リヒャルトがクィアトール宮まで送ってくれるという。馬に乗せてくれるというので、遠慮なく甘えることにした。

「馬って大きいですよねえ……私も、乗れるようになるかな?」

 普段より高い目線から、周囲を見下ろすのは気持ちがいい。この世界に自動車は存在しないから、乗馬が最も速い移動手段だろう。

「乗りたいのか?」

「乗ってみたいです! あ、狩りとかは行かなくていいんですけど……」

 弓矢を使って行う狩りは、貴族のたしなみとされている。

 自分の国にいた頃でも、ヴィオラは狩りに参加したことはなかった。狩りに参加したら、獲物を捕らなければならない。

 甘い考えと言われるかもしれないけれど、自分の手で獲物を捕るのは抵抗があった。

「そうか。乗馬だけなら、俺が教えてやれるぞ」

「い、いいですよっ! お願いしたら、誰か先生をつけてもらえると思うんです」

「遠慮するな。俺が教えてやるから」

「遠慮じゃないですぅ……だいたい、リヒャルト様お忙しいですよね? だって、皇太子ですもん」

 首を横に振ると、ヴィオラの後ろに座ったリヒャルトは、くくっと笑った。

「そんなに忙しいわけじゃないぞ。俺を追い落とそうとする者達がかなりいるしな」

「大丈夫なんですか? そんなことで」

 ヴィオラのお腹に回された手に力がぐっとこもって、彼の方へと引き寄せられる。

(完全に子供だと思ってるからの行動よね)

 精神年齢は十八だが、身体はまだ十二歳だ。十歳以上離れているリヒャルトからすれば完全に子供で間違いないのだけれど、子供扱いされるのはなんだかちょっともやもやするというかなんというか。

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