転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
 それからたぶん、馬車に乗せられた。馬車に乗せられたということは、拉致された現場から遠くはなれたところまで運ばれるということになる。

(……ど、どこにいくんだろう……)

 永遠とも思えるくらい長い時間が過ぎた後、ヴィオラは固い床の上に放り出された。

 肩がごつんと床にぶつかり、ついで後頭部を叩きつけて目の前に星が散る。

 頭がくらくらとしたままもがいていたら、袋の口から頭が出た。連れてこられたのは小さな小屋だ。

(ど、どういうことなの……?)

 誘拐された理由が、まったくもって見当つかない。視線を部屋中に走らせると、もうひとつの袋が放り出される。

 男が袋の口を開き、乱暴に引き下げると、中からぐったりとなったニイファが出てきた。ニイファは二人がかりで運んでいたので、ヴィオラを担いでいたひとりと合わせて三人がこの誘拐にかかわっていたことになる。

「んー! んんんっ!」

 懸命に呼びかけてみても、猿轡をされているので言葉にならない。泣き出してしまいそうになるのをこらえていたら、目の前にナイフが突き出された。

「おとなしくしていれば、殺すことはない」

 本当に? と目で問いかけるけれど、彼はヴィオラの疑問を解消してくれるつもりはなさそうだ。

 小屋の中にいる三人の男達は、いずれも不穏な気配をまとっている。ヴィオラは、自分がどんな状況に置かれているのかもわからず、しきりに瞬きを繰り返した。

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