転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「……リヒャルト様は、リヒャルト様です。きっと、リヒャルト様が皇帝になったら、この国はもっと栄えますよね。そうしたら、イローウェン王国にも繁栄がもたらされると思います」

 ヴィオラの口をついて出たのは、そんな優等生的な答えでしかなかった。

 皇妃は、ヴィオラの手を取った。

 先ほどまで発熱していたらしい彼女の手は、ヴィオラの体温より少し高かった。この体温が奪われなかったことに安堵する。

「私は、あなたがリヒャルトを好きになってくれるといいと思っているわ」

「そ、そんなの……いえ、リヒャルト様はすごい人だと思うんですけど」

 皇妃が、ヴィオラになにを求めているのか、残念ながらヴィオラにはわからなかった。

 けれど、リヒャルトのことを皇妃が大切に想っていることだけは理解した。

「誰にだって、休まるところは必要よ。あなたと一緒にいると、リヒャルトはとてもいい顔をしているもの。あなたに、リヒャルトの友人になってほしいと思うわ」

「リヒャルト様は、友人というより、手のかかる妹みたいに思っていると思います。実際、私……かなり、手をかけてしまっていますよね」

 湖に転がり落ちて溺れかけてみたり、誘拐されかけてみたり。

 その度に助けに来てくれたのがリヒャルトだった。手のかかる妹以外に、彼がヴィオラをどう思っているのかなんて、想像することもできない。

「もちろん、今すぐにというわけでもないのだけど。好きになってくれたら……嬉しい」

「そ、それはどうかと思うんです……」

 皇妃はそう言ってくれたけれど、ヴィオラは、それに返す言葉は持たなかった。



 ◇ ◇ ◇

 

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