転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「だから、私は戦うことを決めたの。自分や息子や――それから、息子の大切な存在に害を及ぼす相手は許せない」

 戦うことを決めた――皇妃は、力強い目をしていた。最初に会った時の、今にも消えてしまいそうな風情は、完全に消え失せている。

「私は、皇妃。私は、この国すべての民の母なんだもの。これ以上、うつむいては、いられないわよね」

 ヴィオラは、その力強さに目を奪われるような気がした。

 皇妃が、こんな風に力強い目をしたのは、知り合ってからさほど長くない時間の中で、初めてのことだ。

「ごめんなさいね、あなたを縛るつもりはないのだけれど、ひょっとしたらあなたに害を及ぼす者が出るかもしれないと思って。あなたを守るためにこちらに来てもらったの」

 そして、ヴィオラはヴィオラなりのやり方で皇妃を守るためにここにいる。

(仲間として、私は認めてもらえたってこと……?)

「あなたが来てくれてからリヒャルトも変わったわ。大切な存在ができると、人って変わるものなのね。前にも聞いたけれど、リヒャルトのことをどう思う?」

「ど、どう思うって……?」

 真正面から問いかけられて、返事に困ってしまった。皇妃は、ヴィオラにどんな答えを求めているのだろう。

 リヒャルトのことは、素敵な男性だとは思うけれど、だからと言って、この先になにかあるとも思えない。

 だいたい、リヒャルトにとってのヴィオラは、せいぜい手のかかる妹というところではないだろうか。

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