転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
 皇妃はにこにこ愛想よくふるまってはいるけれど、皇帝が期待している行動ではなかったらしい。

 けれど、皇妃がこうやって元気になっているのを見るのは気持ちがいい。皇妃が、このままずっといてくれればいいなとヴィオラは思う。

(……あれ、そう言えば)

 リヒャルトの側仕えであるセスがいない。ティアンネ妃が謹慎を申しつけられてしまったから、彼はこの場に参加しにくいんだろうか。

 罪を犯したのはティアンネ妃であって、セスもリンデルトも関係ないはずなのに。

(……本当に、そうだった?)

 先ほど、神殿の中で聞いた会話を思い出す。リンデルトは、ティアンネ皇妃に何か言われて動いていたのではなかっただろうか。そうだとしたら、セスも何か頼まれていて、この場には顔を出せないという可能性もある。

(でも、証拠はないし。結局、あとは大人に任せるしかないんだろうなー……)

 ティアンネ妃だって、謹慎に追い込むだけで終わってしまった。皇族となった人を裁くのはとても難しいことなのだ。

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