わたしのいじわる王子さま
さっきまでは、付き合ってると思い込んで勝手にモヤモヤしていた私の心は、

幼なじみだと分かった今も変わらずモヤモヤしている。


「……なんで、私なの?」


昔から、あんなに美人な幼なじみがそばいたのに。

なんで、杉浦くんはわざわざ私なんかを好きになったんだろう。


特別可愛いわけでもないし、これと言った特技もない。おまけに素直じゃないし……。

我ながら、こんな女を彼女にしたって自慢出来る要素が1つも見当たらないよ。

今も、私の顔はきっと瞼が腫れて醜いこと極まりないだろう。


「俺はおまえがいいんだって」

「……っ」

「意地っ張りで泣き虫で、俺の意地悪に一々困った顔する……そんな春奈が好きなんだよ」

だけど、初めて私に向けられた杉浦くんの笑顔に、涙で顔がぐしゃぐしゃとか、瞼が腫れてて酷いとか


……そんなの全部、もうどうでも良くなってしまった。


「……杉浦くん」

「本当は俺のこと好きなくせに、強がってばっかでムカつく」

「っ、」


このタイミングでその笑顔なのはずるいよ。

言葉とは裏腹に、フワッと飾らない笑顔を見せる杉浦くんに、私は今、完全にノックアウトされてしまった。


ずっと、ずっと見たかった杉浦くんの笑顔は思ってたよりもずっと、無邪気で、子供みたいだった。


それでいてやっぱりとびっきりカッコイイ。
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