氷雨逆巻く天つ風の夜に【完】
夜が来ると、氷雨は庭に出て夜空を見上げた。
陸奥はまだ寒くて、隣に立った朧の息が白くなっていてちゃんと羽織を着せてやると、手を差し伸べた。
「じゃあ帰るか」
「…私もうちょっとふたりで…なんでもありません…」
消え入るような声で呟いた朧の言葉をしっかり聞き取った氷雨は、縁側を振り返って天満に声をかけた。
「お前んとこの宿屋、部屋空いてんの?」
「一番いい部屋を空けてあるよ。せっかく用意したんだから泊まっていってほしいなあ」
ぱっと顔が輝いた朧の手を握った氷雨は、口笛を吹いてその辺で待機していた猫又を呼び寄せた。
傍に行って朧のぷにぷにの頬を撫でた天満は、数回しか会っていない末妹が寂しそうにしているのを見てこそりと囁いた。
「赤ちゃんが産まれたら会いに行くよ。それかまたこうして遊びにおいで」
「!はいっ!天満兄様、文を書きますね」
「ん」
猫又を滑空させた氷雨は、前に乗せた朧の腰をしっかり抱いて天満がかつて亡くした妻と共に経営していた宿屋がいかに繁盛しているかを話して朧の期待を煽った。
「そんなにすごいの?」
「すごいのなんの。すげえ繁盛してるから予約取れないんだぜ。どうせだから泊まってこう」
「えっ!い、いいんですかっ?」
「ま、主さまはまだ乳離れできてないから俺が居なくて寂しいだろうけど、俺だって新婚さんだし。ふたりの時間過ごしたいし?お前もそうだろ?」
「はいっ!」
弾んだ声で嬉しがる朧の可愛い声を聞いているだけで、幸せになれる。
腰を抱いている手をきゅっと握ってきた朧の温かい手を撫でながら、蜜月の甘い時を過ごすため一一路宿屋へ向かった。
陸奥はまだ寒くて、隣に立った朧の息が白くなっていてちゃんと羽織を着せてやると、手を差し伸べた。
「じゃあ帰るか」
「…私もうちょっとふたりで…なんでもありません…」
消え入るような声で呟いた朧の言葉をしっかり聞き取った氷雨は、縁側を振り返って天満に声をかけた。
「お前んとこの宿屋、部屋空いてんの?」
「一番いい部屋を空けてあるよ。せっかく用意したんだから泊まっていってほしいなあ」
ぱっと顔が輝いた朧の手を握った氷雨は、口笛を吹いてその辺で待機していた猫又を呼び寄せた。
傍に行って朧のぷにぷにの頬を撫でた天満は、数回しか会っていない末妹が寂しそうにしているのを見てこそりと囁いた。
「赤ちゃんが産まれたら会いに行くよ。それかまたこうして遊びにおいで」
「!はいっ!天満兄様、文を書きますね」
「ん」
猫又を滑空させた氷雨は、前に乗せた朧の腰をしっかり抱いて天満がかつて亡くした妻と共に経営していた宿屋がいかに繁盛しているかを話して朧の期待を煽った。
「そんなにすごいの?」
「すごいのなんの。すげえ繁盛してるから予約取れないんだぜ。どうせだから泊まってこう」
「えっ!い、いいんですかっ?」
「ま、主さまはまだ乳離れできてないから俺が居なくて寂しいだろうけど、俺だって新婚さんだし。ふたりの時間過ごしたいし?お前もそうだろ?」
「はいっ!」
弾んだ声で嬉しがる朧の可愛い声を聞いているだけで、幸せになれる。
腰を抱いている手をきゅっと握ってきた朧の温かい手を撫でながら、蜜月の甘い時を過ごすため一一路宿屋へ向かった。