氷雨逆巻く天つ風の夜に【完】
番頭と女中たちが運んできたのは大量の豪華な食事と酒だった。
食事は普段朧自ら作ることが多いため、誰かが作った料理というのはあまり食べたことがない。
しかも鬼陸奥に伝わる郷土料理は珍しく、目を丸くしていると、氷雨がとある酒瓶を朧の前で揺らして見せた。
「これ飲んでみろよ」
「え…でも私お酒飲んじゃうとすぐ寝ちゃうし…」
「そう思って人が飲む弱い酒を用意してもらったんだ。俺たちが普段飲んでるのは鬼族に好まれる強い酒だからさ。これならお前も飲めるはず」
氷雨が気を利かせてくれたこと自体が嬉しくて感激していると、番頭たちが静かに部屋を出て行ったのを見届けて朧の手に盃を持たせた。
「今夜は晩酌してもらうからな」
「ありがとうございますっ」
米から造られた酒をぺろりと舐めてみるととても甘くて美味しくて、今度はくいっと呷って飲んでみた。
それだけで本来は卒倒するところなのだが身体がぽかぽかして気分が良くなるだけで、朧は目を輝かせた。
「美味しいっ」
「寒いとこの酒は美味いから、こっちで沢山買ってこうぜ。ほら、今度は俺に注いで」
氷雨が好むのは胃が灼けるような強い度数の酒で、朧が飲むと卒倒するどころか記憶もなくしてしまうほどのものだ。
それを豪快に飲み干した男っぷりに朧は惚れ惚れして、出し巻き卵を氷雨の口元にもっていって食べさせた。
「んまい。お前の料理が一番美味いけど、たまにはこういうのもいいな」
「お師匠様ってなんていうか…本当に褒め上手ですよね」
「そうか?思ってることを口に出してるだけなんだけど」
「女慣れしてるって言ってるんです。ねえ、今まで何人くらいその腕に抱いてきたの?十?百?まさか…千…」
「い、いや、待て待て待て!た、楽しい話をしようぜ。な?」
若干絡み酒傾向のある朧の口に今度は氷雨が煮豆を突っ込むと、美味しそうに笑ったため、ほっ。
「おいしーい」
「これは何だろうな。魚?」
ふたりで見たこともない郷土料理が何で作られているのか考えながら食べる時はとても楽しくて、終始笑い声が絶えなかった。
食事は普段朧自ら作ることが多いため、誰かが作った料理というのはあまり食べたことがない。
しかも鬼陸奥に伝わる郷土料理は珍しく、目を丸くしていると、氷雨がとある酒瓶を朧の前で揺らして見せた。
「これ飲んでみろよ」
「え…でも私お酒飲んじゃうとすぐ寝ちゃうし…」
「そう思って人が飲む弱い酒を用意してもらったんだ。俺たちが普段飲んでるのは鬼族に好まれる強い酒だからさ。これならお前も飲めるはず」
氷雨が気を利かせてくれたこと自体が嬉しくて感激していると、番頭たちが静かに部屋を出て行ったのを見届けて朧の手に盃を持たせた。
「今夜は晩酌してもらうからな」
「ありがとうございますっ」
米から造られた酒をぺろりと舐めてみるととても甘くて美味しくて、今度はくいっと呷って飲んでみた。
それだけで本来は卒倒するところなのだが身体がぽかぽかして気分が良くなるだけで、朧は目を輝かせた。
「美味しいっ」
「寒いとこの酒は美味いから、こっちで沢山買ってこうぜ。ほら、今度は俺に注いで」
氷雨が好むのは胃が灼けるような強い度数の酒で、朧が飲むと卒倒するどころか記憶もなくしてしまうほどのものだ。
それを豪快に飲み干した男っぷりに朧は惚れ惚れして、出し巻き卵を氷雨の口元にもっていって食べさせた。
「んまい。お前の料理が一番美味いけど、たまにはこういうのもいいな」
「お師匠様ってなんていうか…本当に褒め上手ですよね」
「そうか?思ってることを口に出してるだけなんだけど」
「女慣れしてるって言ってるんです。ねえ、今まで何人くらいその腕に抱いてきたの?十?百?まさか…千…」
「い、いや、待て待て待て!た、楽しい話をしようぜ。な?」
若干絡み酒傾向のある朧の口に今度は氷雨が煮豆を突っ込むと、美味しそうに笑ったため、ほっ。
「おいしーい」
「これは何だろうな。魚?」
ふたりで見たこともない郷土料理が何で作られているのか考えながら食べる時はとても楽しくて、終始笑い声が絶えなかった。