氷雨逆巻く天つ風の夜に【完】
朧を猫可愛がりしたくなってうずうずした氷雨は、如月が席を外した一瞬の隙を突いて朧の腕を引っ張って違う部屋へと連れ込んだ。
「ど、どうしたんですか?」
「いや、無性に撫で回したくなって」
「もうっ!私は猫じゃないんだからっ」
「猫とか思ってねえよ。あれだな、幽玄町から離れてみるとなんかお前がすごく可愛く見える」
率直な言葉に顔を赤らめた朧は、壁に手をつかれて追い詰められた形になっていたが、氷雨の胸元をきゅっと握って見上げた。
「お師匠さ…氷雨さんも泉様と気が合ったみたいで良かった。楽しそうに笑ってる笑顔がとっても素敵」
ふたりで互いを褒め合って照れると、ここに着いてほとんど朧と触れ合えていない氷雨は、朧の腰を抱き寄せてふっくらした下唇を甘噛みした。
「あんまり焦らすと暴発注意だから、俺を焦らすのは程々にな」
「これからもずっと一緒に居られるじゃないですか。数日位…」
「じゃあ時々こうして部屋に連れ込んで悪戯する。それで我慢しといてやる」
朧が氷雨の唇をじっと見つめると、氷雨はちょっと強引に唇を重ねて舌を絡めた。
想いは同じだったのに紆余曲折あって朧に逃げられ、追いかけてようやく祝言までこぎつけたのはつい最近のこと。
まだまだ朧が足りていないが、思いのままに求めてしまうと朧を壊してしまうかもしれないという一抹の不安もあり、すぐ身体を起こした。
「…?」
「そろそろ如月が戻って来るから出よう」
恍惚とした表情の朧の頭を撫でて唇についた紅を指で拭った氷雨が先に部屋を出た。
中途半端に身体が熱を帯びてしまった朧は、何度も深呼吸をして心を落ち着けると、部屋を出て氷雨を追った。
氷雨の真っ青な目に心を射抜かれて、庭の散策にも気がそぞろになり、落ち着かなかった。
「ど、どうしたんですか?」
「いや、無性に撫で回したくなって」
「もうっ!私は猫じゃないんだからっ」
「猫とか思ってねえよ。あれだな、幽玄町から離れてみるとなんかお前がすごく可愛く見える」
率直な言葉に顔を赤らめた朧は、壁に手をつかれて追い詰められた形になっていたが、氷雨の胸元をきゅっと握って見上げた。
「お師匠さ…氷雨さんも泉様と気が合ったみたいで良かった。楽しそうに笑ってる笑顔がとっても素敵」
ふたりで互いを褒め合って照れると、ここに着いてほとんど朧と触れ合えていない氷雨は、朧の腰を抱き寄せてふっくらした下唇を甘噛みした。
「あんまり焦らすと暴発注意だから、俺を焦らすのは程々にな」
「これからもずっと一緒に居られるじゃないですか。数日位…」
「じゃあ時々こうして部屋に連れ込んで悪戯する。それで我慢しといてやる」
朧が氷雨の唇をじっと見つめると、氷雨はちょっと強引に唇を重ねて舌を絡めた。
想いは同じだったのに紆余曲折あって朧に逃げられ、追いかけてようやく祝言までこぎつけたのはつい最近のこと。
まだまだ朧が足りていないが、思いのままに求めてしまうと朧を壊してしまうかもしれないという一抹の不安もあり、すぐ身体を起こした。
「…?」
「そろそろ如月が戻って来るから出よう」
恍惚とした表情の朧の頭を撫でて唇についた紅を指で拭った氷雨が先に部屋を出た。
中途半端に身体が熱を帯びてしまった朧は、何度も深呼吸をして心を落ち着けると、部屋を出て氷雨を追った。
氷雨の真っ青な目に心を射抜かれて、庭の散策にも気がそぞろになり、落ち着かなかった。