私だけの場所。
うむ。勉強会が始まって一言。
普通に黙々と夏休みの宿題を解くだけだ。
と、心の中で呟く。
勉強会に参加してるのは私入れてざっと数えて15名。に、たいして何故か教師が6名いる。質問する人もたまにしかいないのに6人もいる。それに、皆友達とかいるのだろう。お互いカバーし合ってる人もいるから、先生が6人いる必要も無い。正直、この教室に6人も必要だろうか?なんて6人という言葉を4回も使いそう思いながらも問題集を解いていく。
「なぁ、神崎……」
「…………」
「おい、神崎」
「…………」
「聞けよ。神崎」
なんて、何故か幸恵ちゃんが座ってない方の私の隣の席に渡辺先生が座って私の机をトントンと叩きながら話しかけてくる。
「……なんですか?私の名字の安売りですか?」
「ちげーよ。これ、この問題。なんでお前難しい解き方すんの?」
「………え?」
「いや、さっきから一生懸命解いてんのは見ててわかるんだけど……この解き方よりもっと簡単な解き方があるんだぞ?」
「……まじで?」
「あぁ…………この式とこの式をはぶいて、単純にここだけを計算し、これとこれをくっつけて……ほれ、出来上がり。」
なんて、ノートに軽々と式を書いてまるで料理番組の仕上げができた!とでも言うかのように微笑みながら出来上がり。と呟く先生。
前から見ていた立花くんも、すげえ……と呟き、先生が書いた式で問題を解いているのがわかる。
「今の勉強ってどーして難しい教え方するんだろうな。」
「そうですよね!立花先生!私らの時代はもっとわかりやすい教え方で教えられていましたからねぇ!」
「あ、すみません。主任。俺と主任は年代が少し違うんで。」
なんて、はっきり言う先生に苦笑しながらも問題を解いていく。先生に教えて貰った解き方を真似てしてみたら意外とスラスラできた。
「はい、一旦休憩。」
そう言って先生達は教室から出ていく。が……
「なんで渡辺先生は残ってるんですか?」
なんて、私の隣に座ったままの先生に幸恵ちゃんが聞く。それに、欠伸をしながらも職員室のエアコンが壊れてるから。と答える。
「地獄っすね。」
「あぁ。サウナーよりサウナーだよ。」
立花くんの言葉に意味が理解できそうで出来ない答えを返す先生。そんな先生に女子が歩み寄ってくる。そして、私と幸恵ちゃんを抜いて5人の女子生徒が先生を囲む。
それを見ながらも
「先生って案外モテるんだね。」
「え、由美ちゃん知らなかったの?先生あれでもすっごいモテるんだよ?」
「おい、永松……アレでもってなんだよ……」
「あ、ごめんごめん。これでも、の方がい?」
「……どっちも嫌だ。」
なんて、勉強教えてください。と質問してくる女子達に答えながらも私たちが話しかければ返してくれる先生。
「教師って大変だな。」
「なに、急に。まさか神崎……教師になりたいの?」
「や〜め〜ろ〜よ〜ォ。」
なんて、驚いた顔で聞いてくる立花くんの肩を真剣に殴ったのを謝る気は無い。