隠れ蓑〜Another story〜
そして大きく掲げられたキャチフレーズの下に小さく書かれた文字。
〝女性らしい服なんか似合わない。そんな風に諦めて欲しくないから、、君が着たいと思える服を〟
その文字を見て、涙が溢れた。
ディスプレイしてある服を1つ1つじっくりと眺めた。
それは何処かで見た事あるものであったり、全く見た事の無いものだったりと様々だったけど、、こんな私でも着てみたいと思った。
「すみません、、このマネキンが着ている服をトータルで下さい。」
その中でも1番目立つ所に飾られた服を一式全て購入した。
「すみません、、これ着ていきたいんですけどいいですか?」
思い切ってショップの女性に声を掛けると、優しく微笑んで試着室へと案内してくれた。
中へ入ると早速着ていた制服を脱ぎ捨て、彼のデザインした服に袖を通した。
そして試着室前で待ってくれている晶帆の元に駆け寄った。
「、、どうかな。自分でいうのもなんだけど結構似合ってるかなって思うんだけど。」
少し恥ずかしい言葉も、彼の服に身を包まれれば自然と言えた。
「うん、もの凄い似合ってるっ、、!莉子ちゃんの為に作られた服みたいに。」
そう喜んでくれる親友に思いっきり抱きついた。
「あのね、、、相談したい事あるの、、その、、好きな人な事で、、。っこの後、、、時間ある?飲みに行きたい。」
「勿論、何時でも付き合うよっ!!!早く行こっ、、、!いつもの居酒屋でいいよね?」
そう言って力強く抱きしめ返してくれる親友の事が涙が出るほど好きだって思った。