隠れ蓑〜Another story〜



それから暫くしてからだった。

同期のマキの寿退社が決まったのは。




相手は取引先の男性でどうやら、、、デキ婚だったらしい。

安定期になってから報告は受けた。



あんなに荒れ狂っていたマキの穏やかそうな表情見て、羨ましいと思った。

時折、愛おしそうにお腹に手を当てている姿を目にすると幸せなんだなと嫉妬にも似た感情が沸々と湧き上がる。







だって私には、一生訪れない幸せ。

人並みの〝幸せ〟よりも好きな彼の〝1番近く〟というポジションを取った私は、もしかしたらこの世で1番不幸な女なのかもしれない。




幸せを自ら掴み取ったマキは、笑顔で受付を去っていった。

マキが寿退社して、また受付が1人になってしまった。




その為、上層部は急遽空いた受付嬢を埋めるべく社内で新しい受付嬢を探した。

女子の憧れである受付嬢への希望は殺到し、後任を探すのに苦労していた。










そこである提案をした。

個人的にもずっと気になっていた〝あの子〟を受付嬢にしてはどうかという提案だ。


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