隠れ蓑〜Another story〜


「米川 芹香です。こちこそ、宜しくね。初っ端から言うのはアレだけど〝ご指導を〟ってことだから遠慮なく言わせてもらうけど、、、まずそのメイクなんとかしなさい。そんなノーメイクじゃ立って良い場所じゃないわ。それから髪もそんなキツく1つに結んじゃ駄目。身なりが全然なってない!!貴方それでも女子なの?ここまで洒落っ気がない子は初めてよ。いい?ここは会社の顔。だからこの会社の第一印象は受付嬢で決まるの。礼儀だとかの以前の問題よ。社会人としての常識。」






間髪入れずにダメ出しを入れる。

大概の子は、泣き出すか不機嫌になるかの二択だ。




この子はどちらかなと顔を上げると、想像していた姿ではなくて思わず絶句してしまう。


「はいっ!すみませんっ、、!えっと、、メイクと髪型、、それから服装と、、。」






何処から取り出したのか分からない、大きなメモ帳片手に必死にメモを取っている。

その表情は真剣そのもので、次の言葉が出てこない。




こんな反応初めてで、こんな子初めてで、戸惑い過ぎて、立ち尽くしたのも初めてだった。





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