隠れ蓑〜Another story〜
翌日から彼女は、身なりを整えて受付にやって来た。
それはもう別人かと思うほどで、派手過ぎないメイク、派手過ぎない髪型、それから絶妙な高さのハイヒール。
その全てが完璧で、女の自分ですら見惚れてしまうほどだった。
人付き合いが苦手だという割には、話し方も丁寧で接客向きの優しい声色。
そして何より、その嘘偽りのない笑顔に心を一瞬で持っていかれる。
まさに天職だ。
磨けば光るとは思っていたが、ここまでとは思っていなかった。
只でさえ目立っていた存在だった彼女は、一気に注目の的になった。
受付には男が群がり、女達からは鋭い視線を向けられた。
それでも必死に業務をこなす彼女が健気で、気づけば彼女を庇うように前に立っていた。
「先輩、、、?」
「、、もっと堂々としなさい。貴方はしっかりと仕事をしているわ。だから妬みなんかに負けちゃ駄目。」
「っ、、!ありがとう、、ございます、、。」
驚いた表情を浮かべた彼女は、その後に少しだけ泣きそうな顔をしていた。
きっと私が知らない所でも、相当酷い〝イビリ〟に合っているのだろうと容易に想像できた。
女の嫉妬は醜い。
それは時に狂気に変わる。
死に追い詰めるほどの狂気に。