隠れ蓑〜Another story〜
終業時刻を迎え、彼が接待が入っていた為一人で家路に着いた。
ソファーに座って、昼間の出来事を思い出して大きく息を吐いた。
何故ならば式を挙げたくないと言ったのは彼ではなく私なのだ。
理由はいくつかある。
1つはお金が掛かるという事。
2つ目はもし結婚式を挙げるとするなら打ち合わせなど幾度となく時間を割かなければならない為忙しい彼に、申し訳ないと思った事。
3つ目は只でさえ目立つのが苦手な私が大勢の知り合いを前に釣り合っていない素敵過ぎる彼の横に立つのは心苦しく思っている事。
、、、でも最大の理由は、彼のタキシード姿を誰にも見せたくないというただ単な〝わがまま〟だ。
自分がこんな感情を抱くなんて、社会人になりたてのあの頃は想像もしていなかっただろう。
式を挙げたくないある程度の理由は彼に話した。
でもさすがに最大な理由は言えなかった。
彼はあまり納得いっていなかったが、最終的には折れてくれて〝フォトウエディング〟という形に落ち着いた。
女子の憧れである結婚式。
確かに彼と並んで愛を誓い合うという行為に強い憧れはある。
でも、、それよりも彼の格好いい姿を他の誰にも見せたくないという感情の方が勝ったのだ。