隠れ蓑〜Another story〜


笑顔で言葉を掛ければ、彼女を取り囲んでいた奴らは真っ青になりそれぞれの持ち場へと戻っていった。

途端に解放された彼女は、俯いていた顔をゆっくりと上げながら小さく呟いた。












「っ、、、ありがとうございました、、。」




その安堵した表情と、吸い込まれそうなほど綺麗な瞳と目があって一瞬で心奪われる。

深々と頭を下げ、走り去っていく彼女に柄にもなく一目惚した瞬間だった。










それから今まで関係のあった女を片っ端から切っていった。

受付に立つ同期の芹香を除いて。











その間にも、彼女は恋人が出来た。

1人目の男とは直ぐに破局したが、2人目の男とか長く続いていた。




しかもその男は、同じ営業部の人間で自分と同期の奴だった。

その事を知った時は、自分でも驚くほど黒い感情が湧き出てきてこれが世に言う〝嫉妬〟
だという事に後から気づいた。





そんな同期の男と付き合いだした彼女に、中途半端な時期に異動の辞令が言い渡された。

異動先はまさかの受付で、受付嬢の制服を見事に着こなし、、美しく着飾った彼女は一気に注目の的となった。








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