隠れ蓑〜Another story〜


営業部の入り口が騒がしいとそちらに視線を向けると、営業部の男達に囲まれた彼女の姿。

完全に怯えた表情の彼女を見て、自然と足がそちらに向く。








「ねぇねぇ、庶務課の西村ちゃんだよね?近くで見ると本当可愛いねっ!!今、付き合ってる奴とかいんの?」

『いえ、、そんな、、、私はっ、、。すみませんっ、、!仕事がありますので、、これで失礼します。』

「なになに〜怯えちゃってかわいー。何もとって食おうって訳じゃないんだからさー!そんなに逃げないでよ。」

「嘘つけっ!食う気に満々じゃねぇーかよっ!!!お前ガッツきすぎなんだよ。」






仕事へ戻ろうとする彼女の行く手を阻み、取り囲むように詰め寄る同僚。

その隙間から見えた彼女の今にも泣きそうな表情を見て何か感じたことの無い感情が湧き上がった。




そして手に持っていた書類を1人の同僚の頭に向かって振り下ろした。






振り返った後輩が声を上げる。



「いってっ、、!何するんすか津川さんっ!そんな怖い顔して!!」




『、、今月のノルマが達成してない割に随分と余裕そうだなと思ってな?そう言えば部長が人事部に行ってくるって出て行ったが、、今度は誰か飛ばされるんだろうな。ま、入り口にたむろってる暇があるくらいだからお前達の中にはいないんだろうけど。』




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