隠れ蓑〜Another story〜
そんな彼女の後ろ姿を残された山下さんと見送った。
「、、そんな名残惜しそうな顔しないで下さい。さっき十分見せつけてきたでしょう?こっちはもうお腹いっぱいですよ。それよりもある噂を耳にしたんですけど。」
食べ終わった山下さんは睨みつけたようにこちらをじっと見た。
「あぁ、噂ね。、、それ本当だから。」
「それなら津川さんって社長の甥って事ですか?確か社長の息子さんって若くして亡くなってましたよね、、?じゃあいずれかは津川さんが社長になるって事ですか?」
「さぁ、、?それを決めるのは俺じゃないからな。親族ってだけじゃ社長にはなれないから。それに見合う実力がないと。ちなみにその話、、晶帆は、、、?」
「多分、知らないと思いますよ。知ってたら絶対に相談してくるだろうし、、あの子の性格だと多分別れるって言いそうですから。」
さすがに親友なだけあって、晶帆の事をよく分かっている。
彼女にとってこの会社で仲のいい同僚といえば山下さんと受付の後輩だけだ。
そこから情報が漏れならば、最悪な事態は免れる筈だ。