隠れ蓑〜Another story〜
「、、晶帆はおっちょこちょいなんだから気をつけて、、本当に。」
「うん、、気をつける。」
頭を撫でれば、恥ずかしそうに俯く彼女。
「んんっ!!!あの〜、、2人の世界の入るのやめてくれません?一応私もいるんですけど。それにここ社食ですよ。」
完全に2人の世界に入っていて、山下さんの存在を忘れていた。
山下さんのワザとらしい咳払いと言葉に弾かれたようにビクつく彼女さえも可愛いと思ってしまう。
「ご、ご、ご、ごめんねっ、!!!場も弁えずにっ!?津川さんも食事なさって下さいっ!!!」
敬語に戻ってしまう彼女に少し不満を感じつつも食事を始めた。
すると彼女の手元にあった携帯が鳴り出した。
「もしもし真美ちゃん?うん、、分かった。直ぐに戻るね。」
今まで可愛い表情を浮かべていた彼女が凛とした表情に変わり携帯を耳から離すと勢いよく立ち上がった。
そして完全に仕事モードになった彼女は表情を引き締め言葉を発した。
「莉子ちゃん、津川さん。すみません、、受付からのヘルプの連絡だったのでお先に戻りますっ!」
小さく頭を下げて、直ぐさま背を向けて社員食堂を後にした。