恋愛初心者です、お手柔らかに?
「何ぼーっとしてんだ?大丈夫か?」

「はっ、あ、あの、お久しぶりです。急だったんで、びっくりしちゃって…」

私の心臓は、これでもかって言うぐらい音を立てていた。

なんで?
なんで白石さんが?
今日帰ってくるなんて聞いてなかったし。

「まぁ、そうだな。ちゃんとした辞令は来週出るからな。今日は部長に挨拶に来たんだよ」

「あ、そうなんですね。じゃ、来週からこっちですか?」

「そうだな、20日から東京での仕事になるな。よろしく頼むな」

そう言うと、白石さんは、これでよかったよな?と言いながらコーヒーを手渡してくれた。

「え?白石さん…これ」

「それでよかったよな?永山、それ好きで飲んでただろ?」

「はい。覚えててくれたんですね…」

「まぁな。いつも残業頼む時はこれで、って頼んでたからな」

「そんな、いつもって事はないじゃないですかっ!」

余裕がないまま会ってしまったら、どうなるんだろ?って思っていたけれど、気にするほどでもなかったのか、思ったほか、普通に白石さんと話が出来ていた。

「そうだ、永山…今日時間あるか?俺、今日はこっち泊まりなんだ…時間あるなら…」

「え?あ、あの…」

どう答えたらいいんだろう。
もしかしたら…

「永山さん!」

誰かが私を呼んだ。
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